2021年12月1日
季節感を楽しむ~冬~
日に日に寒さが増し、袷の着物がお召しになりやすい時期になってきましたね。
特に冬はクリスマスや大晦日、お正月など行事ごとも多く、着物を着てのお出かけが楽しめる時期かと思います♪
今回はそんな冬の季節感を楽しむ着物の着方をご紹介したいと思います!
ではどのように季節感を出すのでしょうか?
生地感について
着物の季節による生地の違い
秋の時期と同様に、裏地のある「袷」の着物を着ます。
着用期間の長い袷のシーズンは、秋や冬、春手前によって生地選びの変化も楽しめます。
これからだんだんと寒さが厳しくなってくる12月。冠婚葬祭の礼服を着用するシーンでなく、気軽なパーティーや街着であれば正絹だけではなく、暖かい冬向き素材の着物を選ぶのも防寒対策にいいかもしれません。
着物の生地としては、紬のなかでも結城紬や久米島紬などといった、真綿の糸を使った真綿紬や、生地が厚めの木綿などが暖かく過ごすことができます。
冬場の防寒具について
洋服と比べ、着物は袖口や首回り、身八つ口等、冬の冷たい風を感じやすい部分が多くあります。そのため開いている部分を覆うような防寒コートやマフラー、ストールがおすすめです。風が直接当たるのを防ぐだけでも寒さを軽減できるかと思います。
防寒コートとして、毛足の立ったベルベットは豪華な印象でフォーマル向きですが、ウールも暖かく、フォーマルからカジュアルまで幅広く使うことができます。
またできるだけ体を覆うため短めより長めのコートがお薦めです。1枚羽織るだけでも、ずいぶん違いますよ!
マフラーなどはできれば少しでも大きめの方が首から肩、お尻まで温めてくれるので日頃から選んでおくといいかもしれません。
また最近では洋服でも人気の保温性下着や、保温性の高いステテコ・スパッツ、防寒用足袋が新しく登場し寒さ対策におすすめです。
保温性下着は和服でももちろん使えますが、特に気を付けたいのが襟足です。普通の下着では丸見えなので、襟ぐりの大きく開いたタイプを選びましょう。着る時も長襦袢を羽織った段階で、背中から下に引っ張ります。袖口からも下着が見えないよう七分丈程度の長さにとどめてください。心配な方は着物用の保温性下着もあるので、探してみてください。
寒さは足元にもやってきます。そこで最近では保温効果のある特殊素材でできたステテコやスパッツもあり、伸縮性が高く薄い生地でできているため体にフィットし着物をお召しになってもごわつきません。保温性下着と同様、スパッツを下に履かれる方で階段を登るシチュエーションがある場合は、外から下着が見えないよう短めのタイプを履きましょう。
ストッキングの先が足袋のように割れている「足袋ストッキング」であれば、目立たず履けるかもしれません。また最近は「暖かい足袋」という品も人気で、裏側がネル地になっており、通常の足袋はこはぜが4枚のところ暖かい足袋は正装用足袋と同じくこはぜが5枚になっています。足首まで覆ってくれるので、暖かさが格段に違うのです。重ね履きもおすすめで、足袋の上に防寒用足袋を履くと道中安心です。もちろん目的地に着いたらすぐに脱ぎましょう。
その際脱いだ足袋はすぐに仕舞えるよう足袋カバー入れを持参することをお忘れなく!
また草履にも防寒用のものが存在します。草履の前を覆った「防寒草履」は、見た目も可愛らしく人気があります。取り外し可能なので、幅広く使えて便利です。冬にはぜひ1セット欲しいアイテムです。雨の日や雪の日に安心なのが「雨除け草履カバー」。足袋が汚れるのも防いでくれて防寒対策としても使えます。足先だけのタイプと、すっぽり草履全体を覆うタイプがあるので好みによって揃えておくのも、一つのアイディアです。
着物をお召しになりやすい冬場こそ、おしゃれに防寒することで寒い季節でも着物をもっと快適に着こなしましょう。
次に、色です。
12月以降の冬本番の季節には、寒々しくないほっこりとした暖色を選ぶと見た目にも暖かいものです!
また薄い色というより濃い目の色味がいいでしょう。
冬はちょうど、赤や緑などはっきりしていて温かみのある色をきれいだなと感じる季節。帯揚や帯〆などはもちろんですが、ハンカチなど身に着けるちょっとした小物にクリスマスカラーを取り入れるだけで、全体のイメージまでクリスマス風に見えて素敵ですよ♪
お手持ちのコーディネートに1つでも冬向きの色を加えるだけで季節の移り変わりが感じられるので、そのような色味を着物としてまとってみてください。
冬に季節感を楽しむポイント
他にも着物や帯以外のところで冬の季節感を出してくれるポイントがあります。
1つは小物を冬仕様に変えることです。
イベントが多い冬の季節には、クリスマスやお正月のモチーフを帯留や半衿、帯揚げ、根付に取り入れると一気に冬らしさが演出できるかと思います。
例えばクリスマスシーズンであれば、ヒイラギの葉やサンタクロース、トナカイ、クリスマスツリー・リース、ベル、星などの柄はクリスマスにふさわしい雰囲気になりますね。お正月には、羽子板や独楽、鏡餅、門松といったモチーフで遊び心あるコーディネートになるのではないでしょうか?
冬の時期を通してお使いいただけるのは、雪のモチーフです。雪の結晶や雪兎などを帯留として取り入れると季節に合い素敵かと思います。
また直接的に表現しているモチーフでなくとも、半衿や帯留にキラリと光るスワロフスキーなどを取り入れるだけでも、雪らしさが出てぐっと季節感が高まりますよ。
2つ目に冬の柄を取り入れることです。
季節に柄を合わせることが着物選びの基本とされていますが、冬は花だと椿、水仙などが代表的です。冬ならではの柄行のひとつとして、雪があります。
雪の結晶や雪の積もった木立や竹なども冬にぴったりの柄になります。ぜひ着物や帯、小物にも冬の柄行を取り入れてみてください。雪の柄のなかでも、雪を図案化した雪輪模様を選ぶと冬以外の季節にも着用することができ、長く楽しめますよ。
またお正月には松竹梅や福寿草、十二支などの縁起のいい吉祥柄もおすすめです。
春、夏、秋と、これまでは植物や動物といった自然をモチーフとしたものがほとんどでしたが、冬の季節はイベントのモチーフを柄行として取り入れられ、そこに遊び要素や楽しみがあるのではないでしょうか。
年末まではそのような遊び心あるカジュアルな装いも、お正月に入ると吉祥文様などの格式高い晴れ着に身を包み新年を迎えます。そのため冬は着物で日本文化を存分に楽しめる絶好の機会のように感じます。
ぜひこの時期に皆様も着物をお召しになり、お出かけされてみてはいかがでしょうか?
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