単衣の着物ってどうしたらいいの?

単衣の着物ってどうしたらいいの?

日中は汗ばむような日も増えてきましたね。
5/5は「立夏」。この日を境に夏が始まるという節目ですが・・・
4月から25度を越える暑さとなり、早くから半袖の方をお見かけすることも増えてきました。

そんな中気になるのが、着物の「衣替え」。

着物には袷(裏地有)と単衣(裏地無)があります。
今回は着物のベテラン銀座いち利女将の人気コラムから「単衣」をテーマにした記事をご紹介いたします。
今の時期必見です!

~以下、女将コラムより引用~

 

「単衣」ってなに?いつから着るの?

 

現在、衣替えは6/1から夏服、10/1から冬服といわれ、着物もこの日を境に単衣と袷を着替えます。
けれども、これ実は明治政府が定めたものだとか。

平安時代や江戸時代には、旧暦の4/1が冬服から夏服(裏の無い着物)に替える日だったといわれます。明治の頃は、地球全体がとても寒い時期だったそうです。5月といっても今よりずっと気温が低く、夏服では寒いくらいだったのでしょうね。
現代の私たちにとっては、5月を袷の着物で過ごすというのはずいぶん酷なことですから、「正式な場でなければ単衣でもOK」というのが、ずいぶん一般的になってきました。
私自身も、GW明けから単衣を着ております。さらにここ最近は、4月でもうんと暑い日であれば無理をせず、気温に合わせて単衣を着てしまうこともあります。

 

「帯」はどうしたらいいの?

着物を単衣にしたら、帯も名古屋帯で軽やかに、涼しそうに見えるコーディネートを心がけます。一般的な袋帯ですと、胴に巻く部分は名古屋帯の倍の厚さになり、どうしても重いし暑く感じてしまいますから。
とはいえ、最近はスリーシーズン、オールシーズン向けといった軽く美しい織の袋帯や、さらっとした生地の染の洒落袋帯なども増えています。
ここぞと気合を入れてお洒落したいときなどは、やっぱり袋帯がしっくりとまとまりますね。

単衣も後半の6月下旬になりますと、薄くて透ける夏帯を締めますが、このタイミングもどんどん早まっているようです。
私は長年雑誌「美しいキモノ」を愛読しておりますが、年々夏着物の記事が早くから掲載されるようになっています。最近では羅の透ける帯も5月の終わりからOKと書かれていました。

「美しいキモノ」といえば、きちんとした着方を紹介する雑誌の代表格。

「え?いいのかしら?」とびっくりしてしまいましたが、考えてみればせっかく素敵なお着物をきちんと着付けていても、汗をかいてふうふう言っていては美しくは見えませんね。
帯を薄く軽くすればずいぶん体感温度が変わりますから、夏帯を先取りするのは理にかなっているのかもしれません。

このように、堅苦しそうな「キモノのルール」も、お洒落着としてお召しになる場合は、かなり自由になってきています。
著名な着物の先生方も、「ご自身が快適に過ごせること」「周りの方にも暑苦しさを感じさせないこと」を心がけましょうとおっしゃっていますね。

この季節、衣替えに悩まれる方も多いと思いますが、まずはご自身の感覚で

「もこもこした素材の帯はやめておこう」「単衣といってもこの色と素材は暑そうかな」などと、コーディネートを考えてみてはいかがでしょう。

 

私が若い頃には、身近にお手本になる着物姿の方がたくさんいらっしゃいましたし、そぐわない格好をしていたら、母や祖母から注意されたものです。そんな生活の中から、この季節はこんなものを着よう、これは合わないわ、という「キモノ感覚」が自然に身に付いていったように思います。

今は、ネットなど情報が氾濫している世の中ではありますが、身近に着物姿の方をお見かけすることは、昔に比べれば少なくなってしまいました。すぐそばに着物のことを教えてくれる人もなく、帯合わせはもちろん、小物ひとつでも迷ってしまうという方がたくさんいらっしゃいますね。

そんな中でご自分の「キモノ感覚」を身に付けるには、雑誌でもテレビでもいいですから、とにかくたくさん着物をご覧になることです。
リアルな着姿という点では、大勢の方が着物姿で集まるおでかけイベントなども、とても良い参考になるでしょう。

ご自分の感覚で、季節やTPOに合うものが自然とわかってくると、着物はぐっと楽しく、自由になります。
この季節ならではのさわやかな装いでおでかけなさってくださいませ。

以上、女将コラムからのご紹介でした。

 

着付けは上達しても、いざ!着物で出かけようと思うと「今の季節何を着たらいいの?」と不安になりますよね。
いち利着付け教室では着付けの授業だけでなく、着物の季節やTPOなども学べます。
卒業後を見据えた実践的なカリキュラムなので、しっかり身につき安心です。

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